いま注目のワインの国際資格WSET。
大手のスクールでも、コースが新設されています。
JSAソムリエ試験と同レベルといわれているのがWSETレベル3。両方の取得を考えているならどちらを先に受けた方がスムーズでしょうか?
両方を同年に受験した私が、どちらを先に受けた方が良いのか解説します。
私のワイン受験歴
WSETを初めて知ったのは2020年の春でした。大好きなワインの資格を取りたいと考えていたのですがJSAの暗記は無理だろう・・と思っていた時にWSETの存在を知りました。
私は2020年の夏にWSETレベル2をオンライン受講したのち試験。2020年の秋からWSETレベル3を受講、2021年の春に試験。その夏にJSAワインエキスパートを受けました。
どれも一発合格しましたが、正直なところWSET3よりもJSAを先に受けた方がスムーズだと思います。
WSETとは?
WSETとはWine & Spirit Education Trust(ワインとスピリッツの教育企業合同)の略で、ロンドンに本拠地を置く国際的な酒類教育機関で、Level1~4までを日本で受験することができます。
※Level1~Level3は日本語で受験可能。
Level 1
ワイン業界に初めて従事する人やこの分野に興味のある一般向けのコース。
Level 2
ワインについてしっかり体系的に学びたい人向けのコース。
Level 3
ワインをさらに探究したい人や、ある程度のワインの知識・テイスティング能力持つ人向けのコース。
Level 4(英語のみ)
WSET修了コース。ワインのオールラウンドなプレミアム資格。Unit1~6のすべてに合格する必要があります
各スクールでは、もっと詳しい説明がありますので、そちらをご覧くださいませ。
WSET Level3とJSAの違い
同レベルと言われる「WSET Level3」と「JSAワインエキスパート」の試験の違いについてみてみましょう。
本拠地の違い
JSAは「日本ソムリエ協会主催」の日本のみの資格です。
教本もすべて日本のソムリエ協会の方が執筆されています。
WSETはイギリス・ロンドンに本拠地を置く国際資格です。
テキストも英語で書かれたものを和訳してて、試験の形式や考え方も「英国式」となっています。
受験料・受験資格の違い
JSAは試験のみを受けることが可能です。
受験料を払えば教本も貰えますので最安だと受験料¥29,600のみで受験ができます。
またJSAには「ソムリエ」と「ワインエキスパート」の両資格があります。
ソムリエ試験は酒類提供や販売事業に3年以上従事していることが条件となりますので、そうでない方は「ワインエキスパート」となります。どちらにおいても一次試験と二次試験のレベルは同じです。ソムリエの場合は三次試験でサービス実技の試験があるとうのが大きな違いです。
WSETは講義もセットで受けることが条件なので、Level3の場合はスクールにもよりますが17万円ほど必要です。
もちろん毎回の講義でワインのテイスティングもついてきます。
受験資格は、特にありません。日本では20歳以上であれば基本的にどんな職業についていようと受けることのできる資格です。
試験方法の違い
JSAの試験は一次試験に合格した人のみが二次試験(テイスティング)に進むことが出来ます。
また、一次試験はCBT試験。二次試験もマークシートのため、すべて選択問題です。
WSETの試験は一次試験(筆記)も二次試験(テイスティング)もどちらも同じ日に行われます。
マークシートの問題もありますが、論述問題、テイスティングも記述式です。
余談ですが、試験日は午前中から午後にかけて行われるのですが・・テイスティングが先でその後に2時間の筆記試験なので空腹との戦いとなります。
試験で重視されるポイントの違い
JSAはとにかく暗記が大事。産地の名前や教本の細かいところからも問題が出るので、とにかく練習問題や過去問題をたくさん解いて覚えることが大事です。
しかし逆に言えば、内容が分からなかったとしても単語を覚えていれば試験には合格できます。
WSETも産地などを暗記する必要がありますが、JSAに比べれば暗記量だけでいえば1/3くらいしかありません(主観)
しかし、論述問題なので「なんとなく」ではなくワインの造り方から産地の特徴までを総合的に理解しておかないと1文字も書けないという事態になってしまいます。
学び方の違い
どちらもワイン概論(造り方やワインが造られる場所の特徴)からスタートして各産地の勉強に入ります。
JSAで重視して勉強するのは、主に産地。フランスは御存じの通りメドックのシャトーの名前までしっかり試験にでます。
また東欧などの国もしっかり網羅されています。もちろん日本のワイン産地にもかなりのウエイトが置かれています。
WSETで重視して勉強するのは、まずはワイン概論。JSAではさらっと終わるところですが、ここがかなり重要視されています。
その後は各産地の勉強に入りますが、国ごとよりも、産地の特徴ごとに国をまたいで進んでいきます。
そして大事なこととして、東欧諸国や日本は全く出てきません。産地の範囲は割と狭いです。
試験の時期の違い
JSAは毎年申し込みが3/1から、一次試験は7月~8月。二次試験は10月後半の1日。年に一度しかチャンスはありません。
WSETはスクールごとに試験が行われるので、年に何度か受験の機会があります。
私の通っていたキャプランでは4月と10月に試験がありました。もし落ちてしまった場合も、半年後に再チャレンジも出来るのです。
試験結果通達の違い
JSAの一次試験は現在CBT試験。その場で合否がわかります。
二次試験のテイスティングも1週間ほど結果がでます。
WSETの試験は記述もテイスティングも同日試験ですが、結果が来るまでなんと約4カ月!!
ロンドンで採点してから結果がくるので、とにかく長い!受けたことすら忘れた頃に結果がきます。
どちらを先に受けるべきなのか?
もしもあなたが、どちらも受けることを決めているならJSAを先に受けた方がスムーズだと思います。
産地と品種が頭にしっかり入っていた方がWSETの勉強に集中できるからです。
WSET Lv3はJSAに比べ「暗記する項目」がとても少ないです。
試験で問われるのは、ひたすらに「Why?」です。
なぜこの場所で?
なぜこのワインが造られるの?を説明できるようになる勉強です。
例えば「コンドリュー」が、「どこ」で「何の品種」を育てているかは、JSAでは必ずといって良いほど暗記します。
こういった知識が先に入っていれば、学ぶべき事がとても多いWSET Lv3でもスムーズに勉強に入っていけます。
そして、せっかく高いお金と時間を使って講義に出るなら、楽しくついていきたいですよね。
特に前半は勉強の仕方が分からないうえに、講義はとんでもないスピードで進んでいくので…精一杯になってしまうからです。
もちろん、大体のワイン産地なんて頭に入ってる!という方はWSETからスタートで問題ないと思います!
試験でもないと覚えられない…という性格の方には特に、JSAでしっかり暗記をしてからがオススメです。
JSAの試験は年に1度だけ!
こういった理由からどちらも受ける予定なら、しっかり頭に産地と品種が頭に入っている方がWSETを楽しく学べるので、私はJSAの試験を先に受ける事をオススメします。
しかし!JSAは年に1度しか試験が受けられないのに比べてWSETはスクールによって年に数回チャンスがあります。もし「今から資格とるぞ!」と思った時期がJSAには微妙であればWSETから先に挑戦してみるのも良いかもしれません。
少し時間に余裕があればWSET Level2もオススメですよ!
また私はすべて日本語で受けていますが、レベル4Diproma試験を考えている方は最初から英語コースで受けると単語や表現に慣れていけて良いです。
資格の勉強は楽しい!
試験の勉強は決して楽ではありません。どちらも挫折しそうになったり、もう止めてしまいたい!と思う時も何度かは訪れるはずです。
でも必死に覚えた知識は裏切らないですし、ここで勉強したことが新たな扉を開いてくれます。
自分の好きなことを学ぶのは贅沢なことです。特に大人になってから仕事とは全く関係ないもので得た学びは世界を大きく広げてくれるでしょう!
コメント